正しい「走り込み」出来ていますか?来シーズンが楽しみになる、走り込みメニュー7選

走り込みとは?
陸上競技を経験された方なら、走り込みはほぼ行ったことがあるでしょう。
日本では、トラックでの試合が無い冬の間、中学・高校・大学と走り込みが多用されます。
「走り込みが嫌い」「冬季練習が憂鬱…」という方も多いのではないでしょうか?
そういう方こそ、走り込みをする意味をしっかりと理解することで、練習への取り組み方や、イメージの仕方が変わってくることでしょう。
そもそも、走り込みは必要なのでしょうか?
走り込みには、メリットとデメリットがあります。両方をしっかりと理解したうえで、練習メニューを組んでいかないと、速く&強くなりたいのに、逆効果だった…なんてことになってしまいます。
その効果やリスクも考えて、具体的なメニュー例も紹介いしていきます。
走り込みの3つのメリット
①心肺機能&筋力の向上
設定する距離や、休憩の時間にもよりますが、呼吸と脈拍がかなり上がるのが一般的ですね。また、本数を重ねると、脚や体幹を中心に、筋肉への負荷も与えることができます。
試合期では、ベストパフォーマンスを引き出すため、体をチューンアップしていきます。その時期に心肺機能や筋力を高める高負荷のトレーニングは、リスクが伴いますね。
試合の無い冬の間に、走り込みを取り入れることで、試合で必要な身体的な能力を獲得することができます。
②反復することでのスキルの習得
走り込みは、獲得したい正しいフォームで走ることで、その形を体に覚えさせることができます。スプリントドリルと同じで、何度も反復することにより、目指したい理想の走りに近づくことが出来るのです。
つまり、「どの様な意識をして走るか」を事前にイメージしておく事が必須となります。
③達成感が得られる
学生の皆さんならチームメイトもいるかと思います。同じ目標に向かって全員でやり切ることは、チーム力の向上と個々の達成感の獲得に繋がります。
学校を卒業して大人になってから、昔のチームメイトで話す機会があると、「あのメニューやばかったな」などの話題は必ず出るでしょう。
走り込みの3つのデメリット
①反復することでのリスク
何度も走ることで正しいスキルが獲得できるメリットを上げました。裏を返すと、崩れた走り方で反復すると、その走りが身についてしまう可能性があります。
距離や休憩時間、本数の設定がかなり重要となってきます。がむしゃらにやり切ることは、一見して良い事の様に感じます。ただ、その走りが崩れていたとしたら大変なことになりますね…。
②オーバーワーク
チームで同じメニューをこなすことがほとんどかと思います。その中には走力や基礎体力の違う選手がいますね。仮に、A君にとっては楽勝でもB君にとっては負荷が強すぎたとします。冬季練習の間、疲労の蓄積により怪我のリスクもでてきます。順調にシーズンを迎えるためには、冬季での怪我は避けたいですね。
③距離や本数が本当に選手にとって必要か
目的は、あくまでシーズン中に活躍することです。つまり、試合で必要な能力が走り込みで獲得できるかにフォーカスしなければいけません。これが、欠如してしまっていることが多々あります。
✓「種目は、100mなのか400mなのか」
✓「1日に最大で何本のレースをこなす可能性があるのか」
✓「走りのどの課題を解決したいのか」
を考慮したメニュー設定が必要です。狙いに合わない練習は、心肺機能や筋力的には向上すると思いますが、技術の面では逆効果になる可能性があります。
走り込みのメニューの決め方
では、効果的なメニューを設定するためにはどうしたら良いでしょう?
それには、走り込みの目的を明確にする事が重要となります。
反復することでスキル向上を目指す
走り切ることで、心肺機能や筋力向上を目指す
と練習の目的を明確にすれば、メニューの設定もできます。私が、目的ごとに取り組んできた例を7つ紹介しますので、参考にしてみてください。
なお、社会人になってからの練習メニューですが、コーチングする高校生と同じメニューを行っていますので、学生さんにも効果は実証済みです。
(1)40秒完走
目的:乗り込みの意識、ペースコントロールの獲得
距離:250m~5mずつ伸ばしていく
本数:9本
休憩:4’
→40秒でゴールすれば良いという設定。はじめは無理なくこなすことが出来る分、フォームを意識しやすい。選手のレベルに応じてスタート位置を変更できる。
(2)200mテンポ走
目的:心肺機能&筋力強化
距離:200m
本数:10本~15本
休憩:200m歩き
→25秒設定(当時、200m21秒0)ラスト1本は、設定フリーでタイムトライアル(23秒くらい)集団で行う場合、引っ張る選手を変更していくと個々に自信が持てる。
(3)往復走
目的:スタートスキル向上 心肺機能向上
距離:80m
本数:5本~10本
休憩:30秒 セット間7’
→トラックでなくても直線で出来る走り込み。距離や休憩時間はコントロールしやすい。きつくてもスタートだけはしっかり出る意識で行う。
(4)100mと200mのコンビネーション
目的:スピード持久 筋力向上
距離:100+100+100+100 200+100+100+100
100+200+100+100 100+100+200+100
100+100+100+200
休憩:走った距離歩き セット間200歩き
→スピードレベルを落とさずに行う走り込み。200mの位置がセットで移動していく設定。
(5)タイムトライアル
目的:スピード向上 試合感の獲得
距離:100m 200m 300m 400m
休憩:30分以上
→実戦形式での測定。現状のタイムを知ることで、シーズンの目安となる。試合初戦の緊張感が和らぐ。暖かい日中に行うことを推奨。
(6)オールアウト走
目的:心肺機能&筋力向上
距離:200m×4
休憩:90”~120”
→400m向き。短い休憩時間で、追い込むことが出来る。400mの後半を想定した高負荷のトレーニング。
(7)100mテンポ走
目的:フォーム確認
距離:100m×10本
休憩:1分に1本
→ウェイトトレーニングやサーキットトレーニングの後などに、走りへの意識づけとして。意識的に70%から80%でフォームを意識。
など、選手の能力と、目標に応じたメニューを設定することが走り込みの醍醐味と言えるでしょう。
強度は、練習の流れによって変化させましょう。徐々に負荷を増やした後、回復期間も作ることで、トレーニング効果を最大化します。
【補足】球技選手の走り込み
陸上競技以外で、走る練習を行うスポーツも多いと思います。
同じ様に、“試合中に使う能力か”ということを大前提に走り込みをしたいところです。
例えば、学生野球選手が、何キロも長距離トレーニングを行います。しかし、実際の試合でその能力は必要なのでしょうか?有酸素的な要素を必要とするポジションは無い様に感じます。スピードを高める様な短い距離のダッシュや、スプリントドリルの方がより効果的でしょう。
サッカーやバスケなど、ショートスプリントを繰り返す競技では、上記の往復走の様なトレーニングが必要です。距離は、最長で50mで休憩の時間を短くしても良いかもしれません。休憩をジョギングで繋いでも、競技特性に合った練習になりすね。

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